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2016.1.10 ニューイヤーコンサート2016 ウィーン・フォルクスオーパー
年始恒例のフォルクスオーパーのニューイヤーコンサート。例によってやたらと売り出しが早く、にもかかわらず、11月頃になってのんびりと買いに行くのもまた同じ。席も例年同様3階のサイド。(今年は岐阜のサラマンカホールでも公演するそうで、ここもいいホールですけど、平日仕事帰りに行くにはちと不便すぎ。)
ただ、ここ数年、悪くはないけど特段書くことないし(で、書いてない)、という公演続き。だったので、ソプラノがアンネッテ・ダッシュ、という珍しくばりばりの一線級がキャスティングされてるにもかかわらず、予定のプログラムも歌手も事前に予習せず。しかも会場に着いたのは超ぎりぎり、というやる気の無さだったのでありました。会場でプログラムに目を通したら、歌モノは全部よく知っている曲だったので、結果オーライだったのですけど。

スッペ: オペレッタ『ウィーンの朝、昼、晩』序曲
ヨハン・シュトラウスI: カチューチャ・ギャロップ
カールマン: オペレッタ『マリッツァ伯爵令嬢』から「来い! ジプシーよ」
レハール: オペレッタ『ジュディッタ』から「私の唇は熱いキスをする」
イヴァノヴィチ: ワルツ『ドナウ川のさざなみ』
ヨハン・シュトラウスII: オペレッタ『こうもり』から二重唱「あの上品な物腰」
ワルトトイフェル: スケーターズ・ワルツ
ヨハン・シュトラウスI: ため息のギャロップ

ヨハン・シュトラウスII: オペレッタ『くるまば草』序曲
レハール: オペレッタ『メリー・ウィドウ』から「ヴィリアの歌」
マンクージ: さくらワルツ
カールマン: オペレッタ『マリッツァ伯爵令嬢』から「ウィーンへ愛を込めて」
ロンビ: コペンハーゲンの蒸気機関車ギャロップ
カールマン: オペレッタ『マリッツァ伯爵令嬢』から「ハイと言って」
ヨハン・シュトラウスII: ワルツ『美しく青きドナウ』


スッペのオペレッタ「ウィーンの朝、昼、晩」序曲で勢いよくスタート。チェロのソロが素敵な曲です。YouTube探したらこんな映像を見つけてしまいました。私、5年前に私、これ聴いてたんですねえ(題名に覚えはあれど、曲の方は記憶がなかった・・・)。

続いて「カチューチャ・ギャロップ」(カチュー“シ”ャに非ず。アンダルシアの民族舞踊だそう)。カスタネットを鳴らしながら男性の踊り手さん登場。後から女性の踊り手さんも出てきたのですが、彼女と絡みつつ、自分も踊りつつ、それでいてカスタネットのリズムが全くぶれないって! いやお見事。

えーと、確かこの辺だったと思うんですが、指揮者がメモを見ながら日本語でアナウンス。ウィーン少年合唱団にいたころから親しみを持っていた日本に来れて嬉しい、プログラムの順番の変更についてと、あと後半にプレゼントを用意したから楽しみにしてください、というような内容でした。いかにもカタコトではありましたが、こんだけ頑張って喋ってくれると、会場も盛り上がりましたですよ。

3曲目でテノールのミロスラフ・ドヴォルスキ―登場。初めて聞いたお名前ゆえ、全く期待してなかったのですけど、おお、サイドの席でこんなにテノールの声が良く聞こえたの、私のニューイヤーコンサート史上初めて!
朗々と歌われてこそ聴き映えのする曲なので(ルネ・コロで刷り込まれてますし)、生で聴いたぜ! って満足の味わえる歌なのが嬉しくて嬉しくて。去年の秋にメルビッシュ・ガラで聴いたバデアのやさぐれタシロみたいな小芝居は無かったですけど(彼の歌も悪くなかったですけど)、曲の後半ではちゃんと踊ってくれました。

続いて真っ赤なドレスでソプラノのアンネッテ・ダッシュ登場。いつぞやベルリン国立歌劇場来日公演の「ドン・ジョヴァンニ」にドンナ・エルヴィーラ役で出てたので、お名前だけは存じ上げていましたが(交流先でちょいちょい感想は拝見したので)、予習をサボったため録音含めて聴くのは初めて。彼女も、間奏ではちゃんと踊ってくれましたが、なんたって良く通るソプラノで、コントロールもばっちり。これまた危なっかしい「私の唇は熱いキスをする」ばっかり聴いてた身としては、もう拍手喝采。
このあたりで、おお、これは、今日の公演当たりかも! と俄然テンション上がりだしましたよ。

バレエつきの「ドナウ川のさざなみ」は、男、女、男、と踊り手さんが椅子持って登場。最初は椅子に座ったまま踊ってたのですが、だんだん女の子が小悪魔風に男二人を手玉にとる展開に。ところがしばらくしたらもう一人の女の踊り手さん登場。男二人はふらふらとそっちへ行ってしまい、何よ! って感じでふて腐れる女の子(笑)。この暗めの曲に、こんな楽しい振り付けするなんて、最高! 振り回す椅子が指揮者に当たらないか、ちょっとどきどきしましたけどね(笑)。

「こうもり」の、アイゼンシュタインとロザリンデの二重唱も息ぴったりで楽しかったし、生演奏で初めて聴いた「スケーターズ・ワルツ」も良かったです。
そして前半の最後に変更された「ため息のギャロップ」。曲の途中で、オケのみなさんが一斉にため息をつくんですな。その辺から、指揮者やる気無しポーズになり、しかしコントラバスのお三方が出て行きそうになるのを慌てて止め、でも曲が終わってないのに退場してしまい。コンミスさんが前に出てきて、最後を締めてお終い、という、プログラムの最後にぴったりの、遊び心いっぱいの演出だったのでした。なんか、久しぶりにこういうことやってくれた気がして嬉しい〜♪

後半での、指揮者さんからのプレゼントというのは、彼自身が作曲した、第2部3曲目の「さくらワルツ」。ステージに銅鑼なぞ用意されてるから、何の曲に使うんだろうと思ってたのですが、これでした(後ろに向かって叩くのが見てて大変そうだったりして)。オーケストラが邦楽風の音を奏でているのがなんだか不思議。だんだん普通にワルツになって、踊り手さんも出てきまして、桜をイメージしたのか、ピンク系のひらひら衣装。なんですが、男のお二人、上半身裸って! ちとインパクト強すぎなんですけど。上から見てたので、逆三角形筋肉美をとくと堪能させていただきましたけども。

歌手お二人は後半も安定の出来(ダッシュは空色のドレスにお着替えしてくれました)。この二人なら、どっちかっていうと歌で勝負! のオペレッタナンバーがプログラムに並ぶのも分かりますね〜。安心して曲を楽しめるのが嬉しい!

とびきり楽しかったのは、ロンビ作曲の「コペンハーゲンの蒸気機関車ギャロップ」。打楽器さんが4人そろって電車の駅員さんみたいな帽子をかぶるので、なになに? と思ったら、うちお二人が見たことない楽器を両手に持ってスタンバイ。???と思っているうちに、のんびりと始まる曲。あれ、踏切でよく聴くカンカンって音が聞こえる? え、指揮者さん、ピーって笛、吹くの? わあ、機関車が走り出す音楽!
不思議な楽器は、こすり合わせて蒸気機関車のシュッシュッって音を出すもの、だったのでした。また変な形の木が置いてあると思ったら、汽笛の音を出す笛(?)だったんですね! 最後の方でまたピーッと笛が鳴って、そこからゆっくりになって、最後停車。なんだか○×クイズで上げるものみたいなのがあるなと思ったけど、あれは赤信号だったのか!
何でも、2012年にヤンソンスがウィーンフィルのニューイヤーコンサートで取り上げたそうなので、YouTubeで検索してみたら、ありましたね。大体同じような演出でしたが、この時の中継見てなかったので、新鮮に聴けて良かったです。(でも私が見た演奏ではティンパニ奏者さんがシャカシャカの音やってたので、ちょっとあれっと思いましたが。)

アンコールの1曲目は「ポルカ・シュネル 大急ぎで」。後で調べたらヨーゼフ・シュトラウスの曲だそうです。道理で初めて聞く曲だと思った。
2曲目はヴェルディの「乾杯の歌」。お二人ともグラス持って登場。歌い終わった後、ドヴォルスキ―はそれ飲んじゃって、ダッシュは自分の分を指揮者にプレゼント、でした。
ラストはお約束の「ラデツキー・マーチ」と拍手。曲が終わるやいなやの轟音と平土間席に飛び込む銀色のテープ。

ちなみに、久しぶりに左サイドの席だったのですが、眼下に見えるティンパニのお兄さんが、なかなかのイケメンでした。『のだめ』の千秋先輩(真澄ちゃんに非ず)をダークブロンドで鼻の高いドイツ人顔にした感じ。というわけでオケの曲の時はほぼティンパニ注目。結構調整が難しい楽器なんですね。新年早々目の保養でありました(^^)。打楽器4人組はみんな若手みたいで、終演後に仲良くハグしてました。来年は左サイドを狙おうかしらん(トイレや階段から遠いのが難点なのですけど)。

というわけで、終わってみれば、歌大満足、遊び心も大満足、で今まで行ったニューイヤーコンサートの中では文句なしの一番。今年はいいことありそう! とテンション上がりまくりの勢いそのまま、ニューイヤーコンサートでは珍しく出待ち、指揮者と歌手のお二人にサインいただいて帰りました。
(よく考えたら、グイド・マンクージってこの指揮者、前回の印象が全くないのが不思議なんですが、2013年にも来日してるんですよね。ということは感想サボった最初の年! 忙しくて書かなかったのかしら・・・)
このところ、毎年の公演(但しサントリーホールの)を録画して販売してるそうで、来年行けば、今年のディスクが購入できそうで楽しみです。もっともその前に、我が家にブルーレイが再生できる環境を整えねば、なんですけどね。

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