書・画
《鵲華秋色図》
1295年 紙本着色 28.4×93.2cm
趙孟頫 1254-1322
元初の政治家、書家、画家。字は子昂。号は松雪。呉興 (今の浙江省湖州) の人。南宋第2代孝宗の弟の家系の出身。南宋の地方官に任ぜられていたが、南宋滅亡後、元の世祖フビライに召され、以後5代の皇帝のもと翰林院学士などに就く。詩・書・画に傑出した元代随一の文人といわれる。画では唐・北宋画風を範とした復古主義を主張して元代山水画における指導的役割を果たし、元初五大家と称される。書では篆・隷・楷・行・草の各体に通じ、多様な書風をものにした。また王羲之への復帰を主張し、以後、中国やもとより朝鮮、日本にまで影響を与えた。
右の三角の山が華不注山、左の台形の山が鵲山。実景をもとにしているが、実際にはもっと離れているという。画面上部の自賛(左から二つ目)に「自分の家の故郷を知らない周密(親友)のために、済南の鵲山と華不注山の秋の景色を描いた」と描いてある。「東が鵲山」とあるのを、乾隆帝が跋文で「鵲山は西」と訂正。
1989.10.5 中華民国発行発行
《溌墨仙人》
紙本墨画 48.7×27.7cm
梁楷 生没年不詳
南宋の画家。東平 (山東省) の人。嘉泰年間(1201-1204年)に画院待詔となる。酒好きで、自ら梁風子(風子は狂人の意)と号し、奇行も多かった。最高の栄誉である金帯を賜わったが受けず、柱に掛けて帰ったという。南宋院体画の精緻写実の描法をよくしたが、水墨画を白描化した減筆の描法による人物画でも名高い。牧谿、玉澗とともに日本の室町時代の水墨画に多大な影響を与えた。
1975.6.18 中華民国発行発行
《快雪時晴帖》
23×14.8cm
王羲之 303?-361?
東晋の政治家、書家。字は逸少。右軍将軍となったことから王右軍とも称される。琅邪臨沂(今の山東省臨沂)の人。名門琅邪王氏の出身であったが、自ら地方転出を請い、会稽山陰(今の浙江省紹興)に赴任する。漢代に萌芽した楷・行・草の実用書体を芸術書体に昇華させた。代表作は、魏の夏侯玄が論じた文書「楽毅論」の楷書、「蘭亭集序」の行書、手紙を集めた「十七帖」の草書。末子の献之とともに「二王」と称される。書聖と尊称されるが、現存するものは、すべて双鉤塡墨といって、元字の上に紙をのせ、文字痕の輪郭を写しとり、中を墨でうめた複製品。
行書体のご機嫌伺い。大意は「雪がやみ、時には晴れ間も見え、よい気分です。つつがなくお過ごしでしょうか。お約束の件、いまだに果たすことができません。つとめて不次。 山陰張侯どの」
直後の跋文は元代の趙孟頫、その二人の書をまたぐように清の乾隆帝が「神」の字を大書している。
1978.5.20 中華民国発行
《倪寛傳賛》
24.6×170.18cm
褚遂良 596-658
唐代初期の政治家、書家。字は登善。河南県公、同郡公に封ぜられたことから褚河南とも称される。太宗に重んじられ王羲之の書跡の収集・整理にあたり、その後宮廷の文書・詔勅をつかさどる中書令に任じられ、高宗のもとで尚書右僕射となった。高宗が武氏(則天武后)を皇后にすることを諫めると、愛州(今のベトナム北部)に左遷され、その地で没した。書は初め虞世南に学び、次いで王羲之に学んだといわれる。初唐三大家の一人。
『漢書』巻58の「倪寛伝」に続く賛。
1978.5.20 中華民国発行
《自叙帖》
28.3×755.0cm
懐素 725頃-785頃
唐の書家、僧侶。姓は銭、字は蔵真。永州零陵(湖南省)の人。詩人として有名な銭起の甥にあたる。幼くして仏門に入り、その後長安に移って玄奘三蔵の弟子となる。修行のかたわら書に親しんだ。張旭の流れをくむ狂草(自由奔放に速書された草書の一種)の名手として著名。筆跡としては『自叙帖』 (777) 、『聖母帖』『草書千字文』などがある。
巻頭に自分の経歴を述べ、諸名家が自分の書を賛美した詩文を列挙している。
1978.5.20 中華民国発行
《跋范庵書石湖詩》
15.7×15.8cm
文徴明 1470-1559
明代中期の書家、画家、詩人。名は璧、字は初め徴明(のちに徴仲)長州(今の江蘇省蘇州)の人。科挙の試験には合格できず、50歳過ぎて推挙により翰林院に出仕するが、ほどなく退官し帰郷する。以後は詩書画の世界に没入したという。詩は呉寛に、画は沈周に学び、書は李応禎に学んで王羲之、黄庭堅、趙孟頫の長所をとり、いずれも巧みで三絶と称賛される。画では、沈周のあとを受け継ぎ多くの門人の中心人物として呉派を確立した。沈周、唐寅、仇英とともに明四大家と称される。書では篆・隷・楷・草の各体に巧みであったが、特に小楷(楷書の小字体)と行書に特色がある。
1978.5.20 中華民国発行
解説は『故宮 流転の名品を知る 美を見極める』(NHK出版 2014)『台北 國立故宮博物院を極める』(板倉聖哲/伊藤郁太郎 新潮社)より
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